こちらの石留めでは、外れた宝石を留めました。
しかし石留めという修理は、外れた宝石を留めるだけではありません。

どういうことかと言いますと、宝石が爪には留まっているけど、ゆるんでいたりグラグラ動いたりしている状態を留め直す、という石留めもあります。

この修理は写真で撮ってもビフォー・アフターで違いがわからないので、今まで説明をしていませんでした。

しかし、石が緩みやすいデザインがあります。
ですので今回は実際に宝石の緩みを修理したデザインを紹介しようと思います。

 


プラチナのダイヤの1コ石のリングです。
宝石を留めている部分を『爪』と言いますが、このデザインは左右から2点で挟み込んで留めています。
『2点留め』という留め方です。

 

拡大してみましょう。

このデザイン、左右は爪があるので大丈夫ですが、上下の衝撃に弱いです。
ダイヤが剥き出しになっていますし、台からはみ出ています。

ですので、衝撃が直にダイヤにきます。
実際にこのダイヤは上下にグラグラ動いていました。

※ダイヤが枠からはみ出ているのはそういうデザインですので、不良品とかそういうわけではありません。

 


横から見た写真です。ダイヤがほとんど見えていますね。
このデザインは光をよく取り込みますので、よりダイヤが輝くと言われています。

 


このデザインの珍しいところは、赤の矢印のPTのバーの部分です。
これでダイヤを支えているので、緩むことはあっても(実際に緩んでいましたが)落ちる可能性は低いと思います。

ただし普通の2点留めは、この横の台が無いものが多いです。
その場合、石が緩むと落ちてしまう可能性が非常に高いので、お持ちの方はぜひお気をつけ下さい。

 

続いてのデザインです。

こちらもダイヤのリングです。
爪の引っ掛かりがなく、今度は4点で留めています。

 

拡大写真です。

4点で留めているのですが、爪の角で留めているのでいかにも危なっかしい感じがします。

 


しかも赤丸で囲った部分は、爪が欠けたのか最初からかわかりませんが、ダイヤに掛かっている部分が明らかに少ないです。
他の3箇所と比べるとよくわかります。
こちらも上下にグラグラと動いていました。

※あくまでこういうデザイン、こういう留め方ですので、不良品とかそういうわけではありません。

 

横から見てみましょう。

こちらはダイヤの下側1/3くらいが台に囲まれています。
この台のおかげで、ダイヤがゆるんでも落ちる可能性は少なくなります。
もちろん、絶対落ちないとは言えませんので注意は必要です。

 

どちらのリングも、石留め2,000円+税でさせて頂きました。
ただし、こういうデザインはどうしてもゆるみやすいので、年数が経つとまた緩んできますので、お気をつけ下さい。

 

宝石の緩みについて

石が緩んだり動いたりするのは外れる兆候ですので、きちんと留め直さないといけません。
私の経験上、2点留めのデザインは緩みやすいと思います。

もちろんリングの使い方にもよりますが、特に2点留めで『普段から着けっぱなし』の場合は宝石が緩んでいる可能性が大きいです。

しかし、なかなか自分では気付かないものです。
何か細いもの(当店ではピンセット)でつついて、宝石が動くか試してみるしかありません。
ご家庭では爪楊枝でつつくとかですかね。

ただ、ダイヤモンドは輝きがあるので、動いているのか反射で光っているのか分かりにくい場合があります。
お店で調べてもらうのが一番確実ですね。